スルーホール(Through-Hole)は、電子回路基板(PCB)において部品のリード(足)を基板の穴に挿入し、裏面からはんだ付けして接続する方式を指し、通常PCBにはメッキされた貫通孔(Plated Through Hole, PTH)が使われます。表面実装(SMD)とは異なり、機械的強度が高いのが特徴です。
実装方法の種類
・手はんだ人:が半田ごてで作業。少量生産や試作に適する。
・ウェーブはんだ(フローはんだ):基板を溶融はんだの波に通して、全ピンを一括はんだ付け。量産向け。
・スルーホール・リフロー(Pin-in-Paste):スルーホール部品もリフロー炉で同時実装。混載実装に便利。
車載用途におけるスルーホールの役割
自動車のECU、パワーモジュール、センサーユニットなどでは、以下のような理由でスルーホール型コネクタが選ばれるケースが多くあります。
・高い接合強度:
振動・衝撃の多い環境でもリードが貫通して基板にしっかり固定されるため、接触安定性が高い
・大電流対応:
大電流ラインではリード+スルーホール+銅スルーホールで広い接合面積を確保できる
・EMI対策やシールド構造:
GNDピンやシールドピンをスルーホールで実装することで、シールド効果やアース性能が向上
・信号整合性:
差動信号や高周波信号でも、適切な設計を行えば低反射・高整合性の伝送が可能
スルーホール vs. 表面実装(SMD)の比較
項目 | スルーホール | SMD |
---|---|---|
実装密度 | 低い | 高い |
機械的強度 | 高い | 低い(補強が必要な場合あり) |
修理のしやすさ | ◎ | △ |
製造コスト | 高い(穴あけ工程) | 安い |
自動化適正 | △(一部自動) | ◎(全自動化) |