スルーホール(Through-Hole)とは

スルーホール(Through-Hole)は、電子回路基板(PCB)において部品のリード(足)を基板の穴に挿入し、裏面からはんだ付けして接続する方式を指し、通常PCBにはメッキされた貫通孔(Plated Through Hole, PTH)が使われます。表面実装(SMD)とは異なり、機械的強度が高いのが特徴です。

実装方法の種類

・手はんだ人:が半田ごてで作業。少量生産や試作に適する。
・ウェーブはんだ(フローはんだ):基板を溶融はんだの波に通して、全ピンを一括はんだ付け。量産向け。
・スルーホール・リフロー(Pin-in-Paste):スルーホール部品もリフロー炉で同時実装。混載実装に便利。

車載用途におけるスルーホールの役割

自動車のECU、パワーモジュール、センサーユニットなどでは、以下のような理由でスルーホール型コネクタが選ばれるケースが多くあります。

・高い接合強度:
振動・衝撃の多い環境でもリードが貫通して基板にしっかり固定されるため、接触安定性が高い
・大電流対応:
大電流ラインではリード+スルーホール+銅スルーホールで広い接合面積を確保できる
・EMI対策やシールド構造:
GNDピンやシールドピンをスルーホールで実装することで、シールド効果やアース性能が向上
・信号整合性:
差動信号や高周波信号でも、適切な設計を行えば低反射・高整合性の伝送が可能

スルーホール vs. 表面実装(SMD)の比較

項目スルーホールSMD
実装密度低い高い
機械的強度高い低い(補強が必要な場合あり)
修理のしやすさ
製造コスト高い(穴あけ工程)安い
自動化適正△(一部自動)◎(全自動化)
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監修者

1990年~車載アンテナメーカーである株式会社ヨコオに入社。衛星通信機器の電気設計及びセラミックアンテナ及びフィルターの設計に従事し、その後車載通信機器事業部の電気設計管理職となり主に車載アンテナの開発を遂行。2018年~高周波コネクタ製品のトップシェアメーカーであるローゼンバーガーの日本法人であるローゼンバーガー・オートモーティブ・ジャパン合同会社に転職し、車載通信機器の開発で培った知識を生かし、マネージャーとして各OEM及びTier1へ製品の市場導入サポートを行っています。

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