リフローハンダ(リフローはんだ付け)とは?

リフローハンダ(Reflow Soldering)とは、電子回路基板(PCB)上に塗布したはんだペーストを加熱して溶融させ、部品と基板を電気的・機械的に接合する実装方法です。

大量生産に適しており、SMT(表面実装技術)の標準的な工法であり、ECU・センサ・カメラユニットなど、車載電子機器の高密度実装に不可欠な技術です。

リフローの一般的な工程

 1. はんだペースト印刷:基板上にクリームはんだをステンシルで塗布
 2. 部品搭載:マウンタでコネクタやICを自動配置
 3. 予熱・均熱:温度を徐々に上昇させ、部品への熱衝撃を防止
 4. ピークゾーン:230~260°C程度のピーク温度ではんだを溶融
 5. 冷却:溶けたはんだを凝固させて接合完了

鉛フリーはんだ(SnAgCu系)の採用により、ピーク温度は最大260℃近くに達するため、コネクタ側にも高い耐熱性が求められます。

車載用途での要件と課題

自動車に搭載される電子部品は、耐熱性・耐振動性・長期信頼性が厳しく問われます。
リフロー実装の際も、以下のような設計・選定ポイントが特に重要です。

・高耐熱樹脂材料の採用:PBT、LCP、PPSなど、260°C対応のエンプラが主流
・嵌合部の寸法安定性 :リフロー後に端子やハウジングの変形が起きないこと
・リフロー対応の明示 :コネクタ仕様書で“Reflow compatible”が記載されていることを確認
・実装後の接触性能変化の抑制:接触抵抗変化・嵌合保持力の劣化を防ぐ構造が必要

ローゼンバーガーコネクタ製品とIEC 60068-2-58への準拠

ローゼンバーガーの主要コネクタ(例:HFM®FAKRA、RosenbergerHSD®、H-MTD®など)は、IEC 60068-2-58(リフローはんだプロファイル規格)に準拠した構造設計を採用しており、車載電子機器のリフロー実装に適合しています。

特に、グループ3または4のプロファイル(最大260°C/30秒)への対応が仕様書上に明記されており、鉛フリーはんだの実装条件に対応済みです。

まとめ

リフローハンダは、高密度化・自動化・高信頼性を支える車載電子設計に不可欠な実装技術です。

車載コネクタの選定時には、耐熱構造・リフロー対応明記・信頼性試験への適合を確認し、はんだプロファイルとの整合性を確保することが必須です。

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監修者

1990年~車載アンテナメーカーである株式会社ヨコオに入社。衛星通信機器の電気設計及びセラミックアンテナ及びフィルターの設計に従事し、その後車載通信機器事業部の電気設計管理職となり主に車載アンテナの開発を遂行。2018年~高周波コネクタ製品のトップシェアメーカーであるローゼンバーガーの日本法人であるローゼンバーガー・オートモーティブ・ジャパン合同会社に転職し、車載通信機器の開発で培った知識を生かし、マネージャーとして各OEM及びTier1へ製品の市場導入サポートを行っています。

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