ビットレート(Bit Rate)は、デジタル通信において1秒間に伝送されるデータ量を示す指標で、通常は【bps(bits per second)】で表されます。
車載ネットワークでは、カメラ映像、センサー情報、インフォテインメントデータなど、多様なデータがリアルタイムでやり取りされるため、
適切なビットレートの確保が不可欠です。
高ビットレートの伝送には、信号の整合性(シグナルインテグリティ)や電磁両立性(EMC)を維持するために、コネクタやケーブルの選定が重要な要素となります。
ローゼンバーガー製コネクタと最大ビットレート
以下に、ローゼンバーガーの主要な車載用コネクタシリーズと、それぞれの最大ビットレートを示します。
FAKRA

・最大ビットレート:最大8 Gbps
・周波数範囲:DC ~ 6 GHz
・特長:50 Ωインピーダンス、13種類の機械的および色分けされたコーディング
・用途:テレマティクス、ナビゲーション、車載カメラ、センサーなどの高周波アプリケーション
HFM®(High-Speed FAKRA-Mini)

・最大ビットレート:最大28 Gbps
・周波数範囲:DC ~ 20 GHz
・特長:50 Ωインピーダンス、コンパクト設計(従来のFAKRAに比べて最大80%の省スペース)、CPAオプション、嵌合音対応
・用途:自動運転、ADAS、インフォテインメント、高データレートアプリケーション
・参照:HFM® – High-Speed FAKRA-Mini – Rosenberger
詳しくはこちらの記事でも紹介しています。

RosenbergerHSD®(High-Speed Data Connector System)

・最大ビットレート:最大8 Gbps
・周波数範囲:DC ~ 6 GHz
・特長:100 Ωインピーダンス、STQ(Shield Twist Quad)ケーブル対応、機械的キーイングとラッチング、誤接続防止のコーディング
・用途:LVDSカメラ、USB接続、車載イーサネット(Ethernet)、Firewire(IEEE 1394)、デジタルインフォテインメントなど
・参照:RosenbergerHSD® – Rosenberger
. H-MTD®(High-Speed Modular Twisted-Pair Data)

・最大ビットレート:最大56 Gbps
・周波数範囲:DC ~ 20 GHz
・特長:100 Ωインピーダンス、モジュラーシステム(シングル、ダブル、クアッド、シックスハウジング)、CPAオプション、嵌合音対応、STP/UTPケーブル両対応
・用途:100BASE-T1,1000BASE-T1,2.5/5/10G BASE-T1の車載イーサネット(Ethernet)伝送システム
ADAS、4Kカメラシステム、高解像度ディスプレイ、リアシートエンターテインメントなど
・参照:H-MTD® – High-Speed Modular Twisted-Pair Data – Rosenberger
詳しくはこちらの記事でも解説しています。

MTD®(Modular Twisted-Pair Data)

・最大ビットレート:最大1 Gbps
・周波数範囲:DC ~ 1 GHz
・特長:100 Ωインピーダンス、UTPケーブル専用イーサネットコネクタ、コンパクト設計、低クロストーク
・用途:100BASE-T1および1000BASE-T1の車載イーサネット(Ethernet)伝送システム、車載ネットワークの最適化
まとめ
車載ネットワークの高度化に伴い、コネクタの選定においては、ビットレートの要件を満たすだけでなく、信号の整合性や電磁両立性、物理的な耐久性など、
多角的な視点での評価が求められます。ローゼンバーガーの各コネクタシリーズは、それぞれの用途や性能要件に応じた最適なソリューションを提供しており、
設計者やエンジニアのニーズに応える製品群となっています。
設計や選定に際しては、各コネクタの特性を十分に理解し、システム全体の要件に適合する製品を選択することが重要です。