コネクタのKeying(Coding)とは?

Keyの基本概念

車載コネクタにおけるコネクタの Key(キー) とは、嵌合方向や組み合わせを限定するために設けられた機械的な形状差のことです。

「Coding(コーディング)」とも呼ばれ、誤ったコネクタ同士が接続されないようにするための仕組みです。

Keyの役割

 ・誤嵌合の防止
  形状が異なるため、間違ったコネクタ同士は物理的に接続できません。

 ・信号系統の識別
  アンテナ(ラジオ/GPS/TEL)、カメラなど用途ごとに異なるキーを設定することで、誤接続を防ぎます。

 ・作業効率の向上
  生産ラインやメンテナンス時に迷いなく正しい接続ができ、工数削減と信頼性向上につながります。

Keyと色の対応

多くの車載コネクタでは、キー形状とハウジングの色がペアになって定義されています。
例えばFAKRAコネクタでは、A=黒、B=白、C=青、D=紫といった具合に、キー形状ごとに固有の色が割り当てられています。
この「形状+色」の二重の識別方法により、視覚的にも誤嵌合を防ぐ仕組みになっています。

同様の考え方は、HFM®やRosenbergerHSD®、H-MTD®、MTD®など最新の車載高速通信コネクタにも受け継がれており、各規格ごとに複数のキーオプションと色が定義されています。

また、特別なキーとして Zコード が定義されています。
Key「Z」は中立キーとも呼ばれ、どのキーとも嵌合できるユニバーサル形状です。
主に初期評価や試験、検証段階で活用されますが、誤接続防止機能が弱いため 量産用途には適さない とされています。

目次

まとめ

コネクタのKey(Coding)は、「形状+色」で誤嵌合を防ぎ、用途を識別し、作業を効率化する仕組みです。

車載コネクタの国際規格によって統一的に定義されており、現場での信頼性を支える重要な要素となっています。

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監修者

1990年~車載アンテナメーカーである株式会社ヨコオに入社。衛星通信機器の電気設計及びセラミックアンテナ及びフィルターの設計に従事し、その後車載通信機器事業部の電気設計管理職となり主に車載アンテナの開発を遂行。2018年~高周波コネクタ製品のトップシェアメーカーであるローゼンバーガーの日本法人であるローゼンバーガー・オートモーティブ・ジャパン合同会社に転職し、車載通信機器の開発で培った知識を生かし、マネージャーとして各OEM及びTier1へ製品の市場導入サポートを行っています。

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