電圧降下(Voltage Drop)とは、電流が流れる際に導体(ケーブルや端子)の抵抗によって電圧が低下する現象を指します。
自動車では、バッテリーから各ECUやセンサー、アクチュエーターへ電力を供給する過程で必ず発生し、システム性能や安全性に影響を与える重要な設計パラメータです。
なぜ「電圧降下」が重要なのか?
機能低下の防止
電圧降下が大きいとECUやセンサーが規定電圧で動作できず、誤動作や通信エラーにつながります。
発熱リスク
抵抗による電力損失(I²R)は熱として現れるため、過大な電圧降下は発熱や部品劣化の要因になります。
車載特有の要件
EV/HEVでは高電圧システムを扱う一方、大電流も流れるため、わずかな抵抗増加でも大きな電圧降下に直結します。
計算式
電圧降下は以下で表されます:
Vdrop=I×R
I:電流 [A]
R:抵抗値 [Ω](ケーブル長・断面積・材料に依存)
ケーブル抵抗 Rは次の式で求められます:
R=ρ×L/A
ρ:抵抗率 [Ω·mm²/m](銅 ≈ 0.0178)
L:導体長さ [m]
A:断面積 [mm²]
車載規格と目安
一般的な目標値:配線1本あたり 3%以下 が推奨(12V系で約0.4V、48V系で約1.5Vまで)とされています。
規格参照:ISOやOEM仕様書において、機能ごとに許容電圧降下が定義されています。
特に安全装置(エアバッグ、ブレーキ制御など)は厳格な基準が適用されます。
コネクタ設計への影響
接触抵抗が電圧降下の支配要因に
接触抵抗が高いと電圧降下が増加するため、端子の接触圧や表面処理は重要なファクターとなります。
長期信頼性
酸化や摩耗で接触抵抗が上昇しやすく、長期的に電圧降下が大きくなるリスクがある。
信頼性試験などによる信頼性の確認はとても重要なアクションです。
まとめ
電圧降下とは、導体や接点の抵抗によって電流が流れた際に電圧が低下する現象です。
車載システムでは「誤動作防止」「発熱対策」「安全性確保」のために厳しく管理され、ケーブル断面積の選定やコネクタ設計に直結します。
ローゼンバーガーは、低接触抵抗と長期安定性を両立したコネクタ設計により、車載電源・信号系統における電圧降下リスクの最小化に貢献しています。