「コモンモード」とは、2本の信号線に同じ向き・同じ電圧で現れる共通成分のことです。
自動車のECUやセンサなどの高速通信では、+と−の差で情報を伝える差動信号が使われています。
この差動伝送では、共通の成分(=コモンモード)は本来信号として無視される仕組みです。
しかし、車載配線では、ケーブルや基板のばらつき、周囲のノイズなどによって+と−のバランスが崩れ、
意図せずコモンモード成分が発生してしまいます。
これが「コモンモードノイズ」です。
目次
コモンモードノイズはなぜ問題なのか?
コモンモードノイズは以下のような問題を引き起こします
・EMC(電磁両立性)試験での不合格
・周囲の機器へのノイズ干渉
・車載通信の誤動作やデータエラー
たとえば、車載Ethernetやカメラ映像伝送など高速信号では、ごくわずかな配線のズレ(スキュー)でも差動バランスが崩れ、コモンモードノイズに変わることがあります。
コモンモードノイズ対策のポイント
コモンモードノイズの対策は、「設計段階」での注意が非常に重要です。
見えにくい問題だからこそ、初期から意識しておくことが信頼性の高い車載設計につながります。
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