コモンモードノイズ(Common Mode Noise)とは?

「コモンモード」とは、2本の信号線に同じ向き・同じ電圧で現れる共通成分のことです。
自動車のECUやセンサなどの高速通信では、+と−の差で情報を伝える差動信号が使われています。
この差動伝送では、共通の成分(=コモンモード)は本来信号として無視される仕組みです。
しかし、車載配線では、ケーブルや基板のばらつき、周囲のノイズなどによって+と−のバランスが崩れ、
意図せずコモンモード成分が発生してしまいます。
これが「コモンモードノイズ」です。

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コモンモードノイズなぜ問題なのか?

コモンモードノイズは以下のような問題を引き起こします

・EMC(電磁両立性)試験での不合格

・周囲の機器へのノイズ干渉

・車載通信の誤動作やデータエラー

たとえば、車載Ethernetやカメラ映像伝送など高速信号では、ごくわずかな配線のズレ(スキュー)でも差動バランスが崩れ、コモンモードノイズに変わることがあります。

コモンモードノイズ対策のポイント

・差動ペアの線長を揃える(スキュー抑制)

・撚り線をコネクタ直前まで保つ

・GND(基準電位)を安定化

・コモンモードチョーク(CMC)の活用

・シールド付きコネクタ(例:H-MTD®)の採用

コモンモードノイズの対策は、「設計段階」での注意が非常に重要です。
見えにくい問題だからこそ、初期から意識しておくことが信頼性の高い車載設計につながります。

監修者

1990年~車載アンテナメーカーである株式会社ヨコオに入社。衛星通信機器の電気設計及びセラミックアンテナ及びフィルターの設計に従事し、その後車載通信機器事業部の電気設計管理職となり主に車載アンテナの開発を遂行。2018年~高周波コネクタ製品のトップシェアメーカーであるローゼンバーガーの日本法人であるローゼンバーガー・オートモーティブ・ジャパン合同会社に転職し、車載通信機器の開発で培った知識を生かし、マネージャーとして各OEM及びTier1へ製品の市場導入サポートを行っています。

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