高電圧・大電流用コネクタでは、「どれだけ電流を流せるか」と「どれだけの電圧に耐えられるか」が重要な性能指標となります。本記事では、それぞれの仕様がどのような考え方で決められているのかを解説します。
高電圧コネクタの選定では、電流容量だけでなく、使用環境に応じた耐電圧設計も不可欠です。用途に適した仕様を選定することで、安全性と信頼性を両立したシステム設計につながります。
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コネクタの許容電流容量について
電源供給用のコネクタでは、端子嵌合部や接合部の接触抵抗、および端子・電線等の導体抵抗により、電流を流した際に電気エネルギーの一部が熱に変換され、発熱します。
この発熱によってコネクタの許容最高温度を超えない最大電流を、許容電流容量といいます。
コネクタが使用される環境温度が低ければ最大温度までの温度差が大きくなるため、より多くの電流を流すことができます。逆に環境温度が高い場合は、最大温度までの温度差が小さくなるため、許容電流容量は小さくなります。
このように、コネクタの許容電流容量は環境温度に応じて変化するため、コネクタメーカーは横軸に環境温度、縦軸に許容電流をとったグラフを公開しており、ユーザーはこれをもとに使用環境温度に応じた許容電流容量を確認することができます。温度によって定格が変化することから、この曲線は一般に「ディレーティングカーブ」と呼ばれています。
多くの欧米メーカーでは、安全マージンとして約20%を見込み、実力値の80%程度を許容電流容量として仕様化する例が見られます。
下図はディレーティングカーブの一例です。

図1:Rosenberger HVR100ディレーティングカーブ例
(周囲温度85℃における許容電流〔安全マージン20%適用〕:109.8 A)
許容電流容量を大きくする方法
ケーブル(電線)
電線サイズを大きくして導体の断面積を広げ、単位長さあたりの抵抗を下げることで発熱量を減らす手法が広く用いられています。
低抵抗な電線素材としては銅が一般的ですが、高電圧用の径の大きい電線では、軽量化を目的としてアルミ線を採用する事例が増えています。
ケーブルの絶縁材にシリコンなど耐熱性の高い絶縁材料を用いることで、より高い許容温度に対応する例も多く見られます。
コネクタ
銀は金属中で最も導電率が高いため、高電圧コネクタの端子には銀メッキが広く使用されています。
接触抵抗を抑えて発熱を少なくすることができるだけでなく、銀は耐腐食性では金に劣るものの、高温に強くフレッティング腐食にも強いという特性を持ち、大電流用途に非常に有利であることから、高電圧・大電流用コネクタに広く採用されています。
コネクタの耐電圧仕様について
コネクタに要求される耐電圧性能を満たすためには、システムの使用電圧および要求耐電圧に加えて、汚損度や使用高度を考慮し、コネクタ内部の空間距離・沿面距離を設定する必要があります。
汚損度とは、コネクタが使用される環境の清浄度を示す指標で、環境中に存在する非導電性異物および導電性異物の量とその大きさによって4つのカテゴリーに分類されます。
汚損度の分類(IEC 60664-1 / JIS C 60664-1)
| 汚損度 | 内容 | 例 |
| 汚損度 1 | 非常に清浄な環境 | クリーンルーム |
| 汚損度 2 | 一般的な屋内環境 | 室内、清浄な工場 |
| 汚損度 3 | 粉塵や導電性異物が発生する環境 | 屋外、ダストの多い工場、エンジンルーム |
| 汚損度 4 | 常時導電性異物が存在する環境 | 屋外(雨ざらし) |
異物の多い環境では、絶縁経路上に異物が介在することで沿面距離が実質的に短縮されるリスクが高くなるため、清浄な環境で使用する場合よりも大きな絶縁距離が必要となります。
また、沿面距離は、絶縁材料の耐トラッキング性能を示すCTI(Comparative Tracking Index)の値によっても必要距離が変化します。CTIは、絶縁材料の表面がどれだけ絶縁破壊(トラッキング)に強いかを示す指標です。
空間距離と沿面距離の違いを下図に示します。

図2:空間距離・沿面距離とは
| Rosenberger(ローゼンバーガー)では、電流容量と耐電圧の両面から最適な設計を行い、お客様の使用環境に適した高電圧コネクタをご提案しています。 |

